君じゃないとさ
生きてきた中で、一番死を身近に感じている。
死ぬなら、首つりだろうか。少しでも痛くない死に方が良い。この前買ったばかりのユニクロの黒のベルト。縄はそれでいいだろう。ただ、今の家には首を吊れそうな場所がない。失敗すると辛いから、失敗しない場所を作るか、別の場所を探すしかない。って思ったけど、押し入れの中にあったな。ベルトをかけられそうな場所。ただ、耐久性があるのかやっぱり分からないから、もし本当にやるなら耐久性を調べないといけない。
でも、なんだが家で死ぬのも味気がない。やはり崖とかに行って死ぬべきか。海に飛び込むのが一番エコだよな。死体は海に還るし、葬式代もかからない。事故物件を作らなくても済む。スマートな死に方。たぶん。
なんでこんなふうに考えるのか、自分でも分からないのだ。生きる意味とはなんだ?生きる喜びとは?何故か急速に見失った。いや、元々そんなもの持ち合わせてなかったのかもしれない。それに気づかなければ、生きていけたのに。
生きる喜び。生きる意味。生きる理由。自分の存在理由。私は、一生誰からも必要とされない人間だ。生きてても死んでても、この世界にはなんの影響も与えない。悲しんでくれる人も、きっと3日も経てば忘れるだろう。でも、死とはそういうものだ。いなくなって、そして忘れられていくのだ。
誰かの特別になってみたかった。あなたが居ないと生きていけないと、そんなふうに言われてみたかった。でも、そんな人は存在しなかった。私は世界で一人きり。誰も居ない。だから孤独なのだ。だから、生きる理由を見出だせない。
合理的な人生を追い求めるのなら、多分手っ取り早く死ぬのが良い。なにをするにもコストがかかる。なんて言いつつ、面倒なだけだ。私は、価値のない人間。中身がない。空っぽだ。人の魅力とか、そういうものから一番遠い場所にいる。空っぽなんだから魅力もなにもない。
一生こうやって生きるのか、と思うと単純に疲れてしまった。もう、何も考えたくない。
自分という存在が消えたら、私は何処へゆくのだろう。私は、何者なんだろう。それを知るのも怖いけれど。
生きることがうまくできない。
ギターの音だけが、頭の中で反芻する。
世界が急速に遠のく。
今も私はここで一人きりで。